恋*クル


「何かあったんでしょー?」



麗があたしの肩をぐいと抱き、白状させようとする。

真千子も真千子で、雑誌を閉じて、聞く態勢万端だ。

あたしは一度、深呼吸をしてから口を開いた。



「……あたしさ、武人を好きになってしまったんだよね」



あたしと、麗、真千子は中学時代からの付き合いで、何でも話せる親友同士。

お互いのカッコ悪い部分も、隠さずさらけ出してきた。



「うん、それは薄々勘付いていたからどうでもいいの」

「そうそう。で、喧嘩でもしたの?」



麗と真千子にとって、あたしがヘタレ男を好きになったことは衝撃的かもしれない。

そう思ったのに、二人はいたって冷静で、しかも勘付いていたとまで言うもんだから拍子抜けしてしまった。


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