恋*クル
*悦子という彼女*
武人のお弁当があたしのもとに届かなくなって、どれくらい経ったんだろう。
梅雨が明けて、もうすぐ期末試験が始まるから、一ヶ月は経っていないと思う。
それなのに、ずいぶんと長い月日が経っているように思えた。
合同で行われる、武人のクラスとの体育の授業。
その時に武人と顔を合わすけれど、あたしたちは一言も話をしない。
目が合って……、武人がにこりと笑うから、あたしのその笑みに応えるだけ。
ただ、それだけ――……
最初は、“何か喋ってくれてもいいんじゃない?”と腹が立ったけれど。
次第に、寂しくなってきた。
ヘタレでも何でもいいから……
“梓ちゃん!”
あの声がもう一度聞きたい……。