恋*クル


朝のバス停でも、武人と顔を合わせることがなくなった。

あたしはいつもどおりのバスに乗っているから、武人の方が時間をずらしているんだ。


学校に向かうバスを待っていると、武人と知り合うきっかけにもなった、あの割り込みオバサンがこちらに歩いてくるのが見える。


あぁ、あのオバサン……。

並ぶ気配なしだわ。

バスが着たら、きっと割り込む気なんだ……。


ぼんやりとオバサンを見るけれど、あたしはあの日のようにガン飛ばすことも、注意することもできない。


もう、どうでもいいよ。

割り込みたきゃ、割り込めばいい。

どうぞ勝手にしてください。



「……注意しないのか?」


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