恋*クル
あたしの真後ろで、聞き覚えのある声が問いかける。
咄嗟に振り返ると、そこには武人の姿があった。
「なんで……、あんたがここにいるのよっ」
「なんでって、俺、いつもこのバス停だろ?」
「だって最近、いつもの時間にいなかったし……」
「あー……、夏バテ気味で、朝なかなか起きられなくてさ」
ニタニタと笑う顔。
ムカつくどころか、逆にドキドキしてしまう。
あぁ、今のあたしの心拍数を計ったら、とんでもない数値が出るだろうな。
――嬉しい……。
久しぶりにこうやって顔を合わせて話していることが、素直に嬉しいと思える。