恋*クル


「あたし……、返してきてあげようか?」

「えっ……?」



今朝のこともあって。

あたしは今、すごく意地悪なことを言っている。

素直になれなかった自分のことを棚にあげて。



でも……



「じゃあ、お願いしてもいい?」



悦子さんは余裕の笑みで、あたしに鍵を渡す。



「えっ……、いいの?」



自分から言ったくせに、あたしは悦子さんの態度に拍子抜けしてしまう。



「うん、梓ちゃんさえ良ければ」


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