恋*クル


悦子さんは嫌な顔ひとつせず、さらりと言ってのけた。



「それじゃ、お願いしますっ」



ニコッと笑って……。

悦子さんは何の未練もなく、その場を立ち去って行ってしまった。



なんで……?

なんでそう、平気なの?


悦子さんが自分で鍵を返せば、武人に会えるんだよ?

学校が違うんだから……

やっと、堂々と付き合い始めたんだから……

あたしの申し出を断って、自分で鍵を返せばいいじゃない……。


あたしが悦子さんの立場なら、きっとそうするのに……。


鍵を手にしたあたしは、悦子さんの行動が理解できなくて。

そのあと、武人の教室へと向かった。



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