恋*クル
真千子の視線の先は、少し先に見える靴箱……。
視線を追いかけた先。あたしたちのクラスの靴箱のところに、武人が一人でポツンと立っているのが見えた。
「……うそ……っ」
すぐさま、逃げの態勢に入るあたし。
麗と真千子もそれに協力してくれるのかと思いきや、逃げようとするあたしを無理やり引き止めた。
「ちょっと離してよっ」
「梓! いつまでも逃げているわけにはいかないんだよ?」
さっきまで旅行の話で顔が綻んでいた麗は、厳しい表情であたしに言う。
真千子も、同じような表情だ。
「……梓。はっきり振られておいで!」
「はぁ!?」