恋*クル


真千子の視線の先は、少し先に見える靴箱……。

視線を追いかけた先。あたしたちのクラスの靴箱のところに、武人が一人でポツンと立っているのが見えた。



「……うそ……っ」



すぐさま、逃げの態勢に入るあたし。

麗と真千子もそれに協力してくれるのかと思いきや、逃げようとするあたしを無理やり引き止めた。



「ちょっと離してよっ」

「梓! いつまでも逃げているわけにはいかないんだよ?」



さっきまで旅行の話で顔が綻んでいた麗は、厳しい表情であたしに言う。

真千子も、同じような表情だ。



「……梓。はっきり振られておいで!」

「はぁ!?」


< 168 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop