恋*クル


麗の言葉に、あたしは思わず素っ頓狂な声をあげる。


はっきり振られてこい?

て言うか、武人が悦子さんとヨリを戻した時点で、あたしははっきり振られているじゃんっ。



「武人くんの言葉で、はっきり振られてこないと」

「そんな傷口に塩を塗るようなこと……」

「そうでもしないと、前に進めないよ?」

「………」



“好き”と言ってしまったあたし。

でも、それに対する武人の返事を、あたしはちゃんと聞いていない。


答えなんか分かっているのに――……



「ほら、梓!」



躊躇していると、麗があたしの背中をドンと強く押す。


< 169 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop