恋*クル


いきなり差し出されたのは、ハンカチに包まれたお弁当らしきもの。



「……お弁当??」

「うん。おにぎりだけなんだけど」

「……意味分かんないんだけど……。話があるんじゃないの?」

「腹減ってるだろ? 食べながら聞いてよ」



言って、武人は靴箱の前に腰を下ろした。

唖然としたまま突っ立っているあたしに、武人は自分の隣をポンポンと叩きながら、座るように促す。


武人の行動が理解できない。

確か、あたしにお弁当を作るのは最後だって、このまえ言ってなかったっけ?

そのお弁当には、あたしの大嫌いなさくらでんぶが入っていて。

あたしは“最後なんだから”って、我慢しながら食べたのに……。


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