恋*クル
*ハンカチ*
“悦子を、忘れられなかったんだよ”
はっきりと、そう言った武人。
じゃあ、もう話は終わりでしょう?
あとに続くのは、あたしに対する気遣いだとか、そんなもんでしょ?
そして最後に、“ごめん”って言うんでしょ?
そんな先が見えすぎている話、あたしは聞きたくなんかない。
すぐにその場を立ち去ってしまいたかったけれど……。
あたしの手の中には、武人が作ってくれた意味不明の大きなおにぎりが残っている。
これを食べないと、きっと武人はあたしを解放してくれないだろう。
「こないだ悦子が、ウチに泊まっただろ?」
「……うん」
今度はノロケ話でもするつもり?