恋*クル
梓を好きだと思うと同時に、俺の心のなかにはいつも悦子のことが引っかかっていた。
街中で、江南高校の生徒を見かけるたびに、悦子のことが気になっていたのも事実。
今頃、どうしているんだろうか。
同じ学校のヤツらとうまくいっているんだろうか。
新しい彼氏はできたんだろうか。
悦子とヨリを戻してから、以前と同じように悦子とキスを交わし、体を重ねる。
久しぶりに感じた悦子のぬくもりは、やっぱり愛しくて、懐かしくて。
あぁ、やっぱり俺の気持ちは悦子にあったのかな、と、梓に対して罪悪感を抱いた。
梓を好きになって。
悦子との一件があったからヘタレ男を演じて。
梓を振り向かせるために、毎日弁当を作って。
そこまでやったのに。
悦子を抱いた瞬間、“あぁ、違った”と思ったんだ。
.