恋*クル
「今は学校が違うから、堂々とデートできるね」
両親が旅行から帰ってくる前日の朝。
朝ごはんを食べている時に、悦子がそんなことを言ってきた。
「……でもさ、おまえと同じ学校のヤツに見られたら、結局は同じじゃね?」
「大丈夫だよ。今はみんな、一年生の男の子に熱を上げているから」
「なんだそれ。もしかして俺って、もう過去の人間?」
拗ねたように俺が言うと、悦子は笑いながら頷いた。
昔とは違って、誰かに気を遣うこともなく、悦子と堂々と付き合うことが出来る。
以前は、周囲の目を気にして、いつも悦子の家で会っていたから。
どこに行こうか。
遊園地、映画館……。
友達にアリバイ協力してもらって、旅行するのもいいな。