恋*クル
その日の夜。
いつもは悦子が料理を作ってくれたけれど、最終日ってことで、俺が夕飯を作ることにした。
「武人って料理できるの!?」
俺が料理するなんて、悦子はまったく知らなかった。
そりゃそうだ。
俺が料理に目覚めたのは、つい最近。
梓に弁当を作るためだけに、覚えたんだから。
料理上手のおふくろに、いろいろと指南してもらって。
呑み込みの早い俺は、短期間で料理のノウハウを身につけたんだ。
その日の夕飯は、中華。
酢豚に、中華風サラダ、麻婆豆腐。
餃子を作ろうかとも思ったけれど、そこまでやったら食べる時間が遅くなってしまう、と諦めることにした。