恋*クル
*【恋*クル】*
「――あ。おまえ、今、鼻かんだだろ?」
「……“おまえ”!?」
武人が話し終えたあと、あたしは受け取ったハンカチで思いきり鼻をかんだ。
酢豚に入っている豚肉がどうのこうのって話に泣いたんじゃない。
悦子さんとヨリを戻した武人が、悦子さんとキスしただの、エッチしただのと、そういうことを恥ずかしげもなく言うもんだから。
ショックで、涙がポロポロとこぼれてしまった。
普通、そういうこと言うか?
だいたい、そんな話しなくてもよくない?
酢豚の話だけでじゅうぶんでしょ?
「でさ、思ったんだよ」
いまだ武人に抱きしめられている、あたしの体。
やっぱりあたしは、離れることができない。