恋*クル
「うん。悦子に振られたよ。そして、改めて気づかされた。梓を好きなんだって」
「……じゃあ、このおにぎりは?」
「俺を好きな梓が、俺が作った大嫌いなさくらでんぶ入りのおにぎりをどうするか、試してみただけ」
……こいつは……。
呆れながら、あたしは武人に問いかける。
「じゃあもしも、あたしが無理して食べたら?」
「……それはないって、確信しているから」
「あんたって……、どこまで自信家なのよ」
ずっと抱きしめていたあたしの体を、武人がゆっくりと引き離す。
そして、あたしをくるりと自分の方に向かせる。