恋*クル


「あ……。て言うかさ、あんた、“最後のお弁当”って言ってたけど、あれは何か意味があったわけ?」



ふと思い出して、あたしは武人に訊く。

武人はきょとんとした顔で、あたしに言った。



「え? だってさ、食中毒とか心配だろ? だから“最後”。涼しくなったら、また作るつもりでいたけど……?」

「はあっ!? じゃあ、あの小さなハートはっ?」

「……特に意味は……」

「ない? ないって言うのね??」



詰め寄るあたしに、武人は固まったまま、うんともすんとも言わない。


なんだよ、それっ!

あんな甘ったるいさくらでんぶを、吐きそうになりながらも食べたのに。


ムカついて。

あたしは、武人に蹴りを一発お見舞いする。


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