恋*クル
高校に入学してから、浮いた恋愛話のひとつもないあたし。
彼氏、なし。
好きな人も、もちろんいない。
たとえば、今このバス停にいるあの男の子……。
何かのきっかけで彼と仲良くなれたら、なんて。
妄想に浸る気持ちもない。
まぁ、そのうち誰かを好きになるだろう。
恋愛に関しては、ほとんど無関心だった。
程なくして、学校方面に向かうバスが到着する。
先頭に立っている中年のサラリーマンから順に乗り込む。
あたしの前にいるお婆ちゃんは、杖をつきながらゆっくりとした足取りでバス入り口へと歩いていく。