恋*クル
あの日以来、三年の先輩たちを時折、校舎で見かけるけど。
いつもは、肩を張って我が物顔で練り歩く先輩たち。
でも、武人が近くにいると分かると。
急に身を縮めて、そそくさと立ち去っていく。
「……ねぇ。あんた、何かしたでしょう?」
そんな先輩たちの豹変ぶりを見て、あたしは武人を問い詰める。
「うーん……。俺はただ、料理の基礎を教えただけなんだけどなぁ」
「料理の基礎?」
「そう。料理の『さしすせそ』とか……」
違う。ぜーったいに違うはず!
違う意味での『料理』じゃないの?