恋*クル
*『アニキ』と悦子*
武人と出会ってからのあたしは、心休まる日が一日たりともない。
朝は、同じバスで顔を合わせ。
学校に着けば、手作り弁当を届けられ。
でも帰る時だけは、クラスが違うせいもあって武人と顔を合わせることは滅多にない。
「あれー? あの制服ってさぁ、江南高校の制服じゃないー?」
放課後。
麗と真千子と一緒に学校を出ると、正門のまえに小柄な男の子が立っていた。
制服がまだ馴染んでいないような感じに、新入生かな、と思った。
年下大好きの麗は、その子のところに駆け寄っていき、人懐こい笑顔で話しかける。
「ねぇねぇ、君。江南の子だよねー?」