恋*クル


「……あっっ! アニキ!!」



武人の後輩が、目の前にいるあたしから視線をずらし、嬉しそうに手を振った。



「……信一……っ!?」



ひどく驚いた武人の声が聞こえてきて、あたしは思わず振り返る。



「なんで、ここに?」

「アニキ、ひどいっすよー! 転校したならしたって、ちゃんと連絡くださいよー」



少し膨れっ面になった後輩が、あたしの横を通り過ぎ、武人の目の前まで歩み出る。



「アニキがいるから、俺、江南を受けたのにっ!」



後輩の話しぶりから、彼が武人をすごく慕っていることが分かる。


< 49 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop