恋*クル
「どうって……」
この質問の答えが、あの日の謎に繋がるような気がした。
三年の先輩たちに呼び出された武人が、無傷で帰って来たこと。
先輩たちが山積みになって、『昼寝』していたこと。
「“あっち向いてほい!”って言って、その隙に逃げ出しただけだよ」
「……そんな古典的な騙しに誰が引っかかるか!」
武人からフタを奪い、またもやお弁当箱にかぶせようとする。
「本当だって! 信じてくれよぉぉっ!」
あぁ、もうっ!
……そんな話、まったく信じていないけど。
武人が作った、予想外に美味しいお弁当をもう少し食べていたくて。
あたしは「分かった」と言って、唐揚をまた食べた。