恋*クル
「はあ!?」
オバサンは不快そうに、顔をしかめてあたしを見る。
ついでに、すでにバスに乗っている人たちと、いまだ列に並んでいる人たちの視線を浴びる。
けどあたしは、そんな視線なんか気にならない。
「割り込まないで、ちゃんと並びなよ! お年寄りを押しのけてでもバスに乗るってどういう神経してんのっ?」
「な、なによっ。私は急いでいるんだから!」
「急いでいたって、バスは時間通りにしか進まないよ? そんなに急いでるんなら、タクシーでも拾えば?」
「なんなの、この子は!」
オバサンはブツブツ言いながらも、反省の色なし。
あたしが掴んでいた腕を振り払って、バスカードを強引に通そうとする。