恋*クル
*ヘタレ男の正体*
「……まぁ、ヘタレじゃないってことにしといてあげるわ」
ヘタレ男がここまで誰かに慕われるってことは、この先もう二度とないかもしれない。
そう思ったあたしは、親切心から、それ以上のことは言わず話を終わらせた。
でも。
ヘタレ男を神のように崇拝する弟分。
今度は、アニキの武勇伝について語り始めた。
……て言うか。
いまチャイム鳴らなかった?
あたし、これから午後の授業があるんですけど。
ついでに信一くん、あんたもでしょう?
でも、ヘタレ男の前の学校でのことに興味を持ったあたし。
さらには、悦子のことが分かるかもしれない。
そう思って、教室に帰ることを諦めた。