恋*クル
「あー、俺、学校に戻らなきゃヤバイかも」
あたしの心のなかに、ぽっかりと大きな穴を開けてくれた信一くん。
そう言って、立ち上がった。
「また、放課後に来ます。俺が来たこと、アニキに伝えといてください」
「……うん、分かった」
「それじゃ」
信一くんは……知らないんだろうな。
慕っている武人が、この学校ではヘタレ男であること。
そして、毎日のようにあたしに付きまとっていること。
武人が手作り弁当を届けている相手が、
信一くんが気に入っている麗じゃなくて、あたしだってことも……。