恋*クル
「あたしにとっては、悦子さんのことも、あんたの過去もどうだっていいの!」
話そうとする武人を振り払って、その場を立ち去ろうとする。
でも、あの日告白を受けたときと同じように、武人はあたしの腕を掴み、引き止めた。
「ちゃんと聞けって!」
厳しい表情と、低い声に、あたしはびくりと体を震わせた。
あの日も同じだった。
武人はあの時、焦ってすぐに謝ったけれど、今はもうそんな前兆さえも感じられない。
「先に言うけど……、俺がいま好きなのは梓だけだから」
恥ずかしげもなく、そう前置きをして。
武人は“過去”を語り始めた――……