恋*クル
*武人side①*
――武人side*高校一年
「悦子!」
放課後の学校の靴箱。
遅れてやってきた俺が声をかけると、悦子は嬉しそうに微笑んだ。
「ごめん、遅くなって」
「ううん。先生、何の話だったの?」
「……いや、今日さ、俺、宿題忘れてさ。その話」
「へぇ。珍しいね、武人が宿題忘れるなんて」
悦子はくすくすと笑った。
付き合い始めて間もない悦子に、俺が嘘をついたのはこれで何回目だろう。
今だって、遅れてここに来たのは先生に呼び出しを受けたからじゃなかった。