戦国サイダー
私を見下ろすその顔は。
人間とは思えないほど美しく、恐ろしかった。
他に何も考えられないほど、その冷めた顔に目を奪われる。
だけど、その表情は一瞬で消え去った。
瞳に色が戻り、逆に顔色は青ざめてゆく。
「す……まぬ」
私から手を離すと同時に、鬼虎の口から言葉が漏れた。
自分が不思議だった。
突如組み敷かれて、首を絞められそうに、いやもしかしたら折るつもりだったのかもしれないけれど、そんな状況に陥ったのに。
怒りという感情は、微塵も生まれてこない。
寧ろいつもの冷静さを失ったかのような雰囲気が心配になる。
額に汗が浮かび、呼吸が浅く見える。
「大丈夫?」
鬼虎が少し俯き、黒髪がはらりと一房落ちてきた。
「落ち着いて、私は大丈夫だから」
どうしたのだろう、どうしていつもみたいに憎まれ口を叩いてこないのだろう。
どうにか状況を打破したいのだけれど、上に跨られていては身動きが取れない。
人間とは思えないほど美しく、恐ろしかった。
他に何も考えられないほど、その冷めた顔に目を奪われる。
だけど、その表情は一瞬で消え去った。
瞳に色が戻り、逆に顔色は青ざめてゆく。
「す……まぬ」
私から手を離すと同時に、鬼虎の口から言葉が漏れた。
自分が不思議だった。
突如組み敷かれて、首を絞められそうに、いやもしかしたら折るつもりだったのかもしれないけれど、そんな状況に陥ったのに。
怒りという感情は、微塵も生まれてこない。
寧ろいつもの冷静さを失ったかのような雰囲気が心配になる。
額に汗が浮かび、呼吸が浅く見える。
「大丈夫?」
鬼虎が少し俯き、黒髪がはらりと一房落ちてきた。
「落ち着いて、私は大丈夫だから」
どうしたのだろう、どうしていつもみたいに憎まれ口を叩いてこないのだろう。
どうにか状況を打破したいのだけれど、上に跨られていては身動きが取れない。