戦国サイダー
「……す……」



茫然とした鬼虎がここにいる。


目の焦点は合っておらず、唇は上下に動いても、音が喉から発せられていない。



埒があかない。



いつまでもこうしていられる程私も優しくない。


幸い押さえられた両手は解放されている。


脚が頼りにならないんだから、当てられないとわかっていても、こうするしかないんだ。



「こっちを見て!」



今出来る限りの大声で。


この体勢で振れる限りの勢いで。



パシィンッ――!! と乾いた音が鬼虎の顔からした。



あ、当たっちゃった…………



って、しまったぁっ!?



「うわっ、ごめっ……」


「……思李」


「いやっ、ええっとちょっとあれ、なんていうの、気の迷いというか」



鬼虎の様子がおかしかったからやったことなのに、私がしどろもどろ。


だって当たらないと思ったし、というかそれ以前に鬼虎様から出てるオーラがものっすごい怖いんだもの!


 
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