戦国サイダー
ゆったりとした暖かい指が、私の頬を繰り返し撫でてゆく。


その回数が増えていく度、私の鼓動も速度を増していってしまう。



どうしたんだろう、私。


どうしてその手から離れられないんだろう。



どうしてその瞳から逃げたくないんだろう。




ダメ。



おかしくなりそう。



「つ……とら……やめ……」



上手く言葉を紡げない唇の代わりに、私の左手が鬼虎の手を掴んだ。


顔に触れていたその手を止めると、ようやく我に帰ったかのような表情を浮かべ、私の上から身体を動かす。



自由を得た身体は、なんだか少し重かった。


起き上がり、縁側に座り直した鬼虎から距離を置いて私も座る、何故か正座で。



心臓が、破裂しそう。


 
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