戦国サイダー
一メートルぐらいの距離を置いて、気まずい空気。


鬼虎は腕組みをしたまま庭を眺めていて、私は彼の方へ向き、その首をただ見ていた。



だって、顔がまともに見れない……


かといって俯いたらあまりにも失礼かと思うし。



落ち着かない心臓を少し安心させようと深呼吸、ひとつ。



もう一度謝っておこうと、それは平手打ちの分と彼の手を無理矢理拒んでしまったという二つの意味を込めて、私は息を吸った。



「ごめ……」


「申し訳ない」



んなさい……って、謝られてしまった。


顔はこっちを見てないけど、確かに低く通る声で、謝罪の言葉を述べた。



……なんか、や。



いや、あの状況を考えれば、そんなこと当然なんだけど、頭はまだちょっと痛いし。



でもそういうことじゃなくって。




そんな、遠くだけを見てるかのような瞳で言われるのが、イヤ。


 
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