戦国サイダー
そんなことを心の中でぼやきながら、はあ、と大きく溜め息をついた瞬間、庭の方から不思議な音が聞こえてきた。


珍しく鬼虎も気配に気づかなかったらしく、二人でほぼ同時に音の方を向く……と。



「記念すべき一枚目。ただいまー」



小さなインスタントカメラを手にして能天気な顔を見せる兄が庭に立っていた。



「……おかえり」



突然過ぎて上手く処理できない。


鬼虎にいたっちゃ無言でただ眉間に皺を寄せている。



「せっかくだから、と思って買ってきちゃった」



こちらに近寄ってくる兄が呑気に笑う。


可愛らしいインスタントカメラから吐き出された写真はカードぐらいの小さいもの。



「デジカメあるじゃん」



思わず口を出た言葉に、兄が「あれとはやっぱ違うでしょ」と首を振った。


 
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