戦国サイダー
「後で使い方教えてあげるよ。さ、まずは晩ご飯の買い物に行こう」



自由人な兄はインスタントカメラを縁側から茶の間の畳の上に置き、車の方を指さす。



「え、まだ色々食材あるよ?」


「車運転できる俺がいる間に、色々買っておいた方が便利でしょうが。というか明日まで三人分だし。冷蔵庫の中身、そんなにないと思うよ?」



そうだっけ? と冷蔵庫の中を思い起こしていると、兄がにやりと思いきり笑った。



「まー、虎を乗せてドライブがてら、ってことで。俺がいる間に教えておいた方がいいこともたくさんあるってね」



おお、なるほど。


さすがに車と来たら、このノーリアクションな鬼虎も少しは面白いこと言ってくれるかも。



「りょーかいっ。ちょっと財布持ってくる」



期待しつつ立ち上がると、鬼虎が怪訝そうな顔つきで今度は私を見上げてきた。



ふふふ。



『鉄の猪か!?』とかベタな台詞を吐くがいいさ!



そう思って縁側を後にする。


 
< 114 / 495 >

この作品をシェア

pagetop