戦国サイダー
「もーどーしてくれんの、爪折れちゃったぁ……いっ!?」


「自分が他人を不快にさせたことは棚にあげておいて、いいご身分ですね」



赤ワンピの胸元を掴んで顔を寄せる、ヒールのあるサンダルを履いているとはいえ、一七〇もある私より充分小さい。



「なっ、なんなのよっ」


「勝手な妄想抱いて近づいて、予想外の展開が起きたら下らない呼ばわり? 尻もちをつかせたのは確かに悪いけど、そこまで言われる筋合いはないですよ」


「はなしてよっ、アタシは何も悪くないしっ。てかアタシあんな扱いされたことないし、そいつの目可笑しいんじゃ」


「パッドずれてんのよ、この偽乳が」


「なっ……!」



顔がみるみるワンピースと同じ色に染まっていく。


ついでに隣の緑ワンピが少し下を確認して、ひきつった顔で赤ワンピの手首を引っ張った。



いや、ひきつったというより、笑うのを堪えたって感じかな。



もう反論出来ないご様子だったので手を離すと、二人のおねーさんは逃げるようにすぐ目の前にあった女子トイレへと駆け込んで行った。


 
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