戦国サイダー
それに。



その顔見てるとちょっぴり――



「お前が男だったら良かったな」


「へ……?」



笑い声を押さえて、鬼虎の口から発せられた言葉。




男……だったら?



「ちょ、虎それ撤回し……」


「あはは、自分でもそう思うかも。女っぽくないし、背おっきいし」



兄が何か言おうとしてたけど、聞きたくなかったから無理矢理遮った。


なんでかまともに鬼虎の顔が見れなくなって、自分の足元を見つめてしまう。



「あ、二人ともまだ買い物途中だよね? 私ももうちょっと見たいお店あるから」


「思李」


「約束まであと二十分あるし。じゃあ、また後でね」


「思李!」



兄が、何度も私の名前を呼んだけど。


応えることはおろか、上を向くことすら出来なかった。


 
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