戦国サイダー
九帖 白藍
「ここにいないの!?」



止まぬ夕立ちにビニール傘を差して早三十分。


どこに消えたんだかわからない鬼虎を探して私はぬかるんだ道を歩き続けた。



取り敢えず家の周囲をぐるっと回って、ただの山だけど。


鬼虎が見に行ったとかいうでっかい一枚岩、黒岩の辺りも探してみて。


で、見つからないわけで、最初にいた鳥船神社まで来てみたのだ。



もうあとここぐらいしか思い当たらないし……と思っていたところ、外れ、あのでっかい姿はどこにも見当たらない。


バチ当たり覚悟でお宮さんの中も覗いてみたけど、だって鬼虎なら平気で入りそうだし、人の気配は全くなかった。



「どこいったのよ」



雨雫と汗で湿気たっぷりの服は気持ちが悪いが、もう少し頑張らなければいけないらしい。



いや、別にうちに帰りたくないってんならそれはそれでいいけど!



謝ろうと決めた分、言えないともやもやするじゃない?


 
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