戦国サイダー
しばし迷って、足元に転がっていた手頃な石に目が止まる。



……これで、いいか。



これはこれで怒られそうだけど、命を危険にさらすのに比べたら、どうってことない。


私はその石ころを拾って、鬼虎の座る近くを狙って投げてみた。



「こわっ」



その石ころが一度目のバウンドを見せたところで、鬼虎の目が文字通りカッと開いた。


思わず素直な感想を口に出してしまい、慌てて口元を押さえる。



「……お前か」



冷静沈着、確乎不抜。


その物静かな声が、ちょっとむかつく。



「さっ……探したんだか」


「用がないのならさっさと帰れ」



あ、頭の中で音がした。


 
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