戦国サイダー
「その言い草はなによ!」



ビニール傘を捨て、裸足でダッシュ。


向かうは鬼虎、狙うは頭部。



……勿論、蹴ろうと思ったって、ほら、左腕でがっちりガードされるんですけどね。



その衝撃でこっちが痛い、鬼虎の腕硬過ぎでしょ。



「お前には帰る家があるだろう。だから帰れと言っておる」



私が目の前に立っても、胡坐をかいたまま、下から睨んでくるだけ。


今一番、言われたくないことをさらりと言ってくる。



鬼虎の発言に私が言葉を詰まらせていると、今度はどこか冷めた笑みを浮かべる。



「儂には帰る場所がないからな」



そんなの重々承知なのに、こいつは敢えてそれを口にしてくる。



嫌味?


 
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