戦国サイダー
怖かった。



その事実を知ってしまって。





怖くて、目を瞑ってしまう――





身を固くした直後、感触があったのは、額だった。



恥ずかしいけれど覚えのある感触が、額に触れ、そっと離れてゆく。



パンクしそうな心臓を落ち着かせながら、ゆっくり瞼を押し上げると、既に鬼虎の顔とは少し距離があって。



「子どもには、それで充分だろう」



意地悪そうに、笑っていた。



さらに顔が熱くなる。


こういうときに限って私の脳と口は使い物にならなくて、解放された顎を引いて、ただただ呼吸をしてるだけ。


 
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