戦国サイダー
「今は……いないよ?」



今の私が、教えられそうなこと。



「ん?」


「ここには、いないから。刺客とか命を狙ってくる人」



顔だけ向き合って、範囲を狭めた夕日に照らされて。



「……だから、もうちょっと、休んで寝てもいいと思うよ?」



そう言うと、鬼虎が目を見開いてからはにかんだ。



「ああ」



だって、近寄るとすぐ目覚ますでしょ?



「そうだな」



厳密には違う、けど今の世の中寝込みを襲われるなんてことはそうそうない。


例え身に染みていることだとしても、もう身体がそうなっちゃっているとしても。



今ぐらい、ゆっくり眠ることを選択したっていいんじゃないかな。


 
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