戦国サイダー
溜め息をひとつついてから、お盆を持つ。


取り敢えず配膳し終わってから起こしてもいいか、と網戸の横で涅槃のポーズをしている鬼虎をよそに食事を運ぶ。



お風呂上がりの鬼虎は甚平、どうやら寝巻用に兄が買ったらしい。


きっとあっちの方が落ち着くのかな……と思いつつ全てを運び終え、ついでに冷蔵庫から麦茶のボトルとグラスをふたつ、テーブルの上に乗せた。



起こさなきゃ、とは思う。


けどまあ近づいて起こすのは怖いわけで。



「ご飯出来たよー」



テーブルのこちら側から、背を向けて寝ている鬼虎に声をかけてみる。


が、無反応。


あいつなら起きそうなのに。



仕方がないので手近にあったティッシュの箱をその足元に投げてみる。


そこでようやく鬼虎の肩がぴくり、と動いた。


 
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