戦国サイダー
音がない、正確には扇風機の壊れそうな音とか蛙の鳴き声とかあるんだけど、まあそれだけじゃ物足りない気がして、テレビのリモコンに手をつける。


鬼虎も既にテレビには慣れてるみたいで、何も言わない。


いきなり電源が入ったさほど大きくない画面では、今日のニュースが流れていた。



「茶を」



不意に鬼虎が言葉を発したので慌てて見る。


気づけばグラスが空になっていたので、私は横に置いていた麦茶を注ぎ直した。



しかしこの状態、熟年夫婦みたいで嫌だな。



「料理の腕は確かなのだな」



そう思っていたところ、続けて意外な言葉が聞こえたので、今度は麦茶のボトルを倒しそうになる。



「自負しておいて、不味かったならば何を言ってやろうか考えておったのに」



見れば鬼虎は箸を持ったまま。


不敵な笑みを浮かべ、こちらを小馬鹿にしたような態度はいつもと違わず。


 
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