戦国サイダー
電話を切ると、ちょっとだけ心配な気持ちが沸き起こってくる。


その『心配』は一体何に対するものなのかまではわからないけれど。


 
携帯電話を再びテーブルに置いて、冷蔵庫の扉を開ける。


西瓜が入るスペースを作ろうかと思ったけど、この間の買いだめでそこまで大きな空間が出来ない。



いざとなったら切って発泡スチロールでいいや。


諦めつつ、野菜室に入っている大量のトマトを出す。


実は現在我が家の家庭菜園ではトマトが大量繁殖していて、とてもじゃないが食べ切れる量ではないのだ。


西瓜のお返しがトマトというのも釣り合わない気がするけれど、もしあれなら後日また改めてお礼に伺えばいいだろう。


取り敢えずトマトを新聞紙に包み、ビニール袋に入れる。


ついでにきゅうりと茄子も少しお裾分けしよう、と色々しているうちにどうやら時間が経ったらしい。



「思李」



網戸にしていた縁側から、由惟さんの声が聞こえた。


 
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