戦国サイダー
でも、案外平気な自分がいる。


この間一回会ったから?


あのとき、変わらない由惟さんを見て安心でもした?


 
グラスに氷と麦茶を注いで、お盆に載せて縁側へと戻る。


それを縁側に置いてから、茶の間の中にあった豚の蚊取り線香入れを外へと移動させた。



「思李ってさ」



麦茶のグラスを手にして、由惟さんがちょっとだけはにかむ。



「ガードが堅いんだか甘いんだか、わかんねぇ」


「……ん?」



それは決して褒め言葉ではないよね?



「最初付き合うときはすげぇ苦労したのに」



意味がわからない私を置いて、ひとり小さく笑う。



いや、まあ最初は何の冗談かと思って全力で拒否させて頂きましたが。


それが何でしょう?



「別に好きな奴が出来たら、余裕出来るもんなんだろうな」



…………はい?


 
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