戦国サイダー
何も言えなくて、でも視線を逸らすことが出来ない私に、由惟さんの手が触れそうになる。


逃げたくても身体も動かない。


 


イヤ。



酷い女かもしれないけど、イヤだ、触られたくない――





そう思って身体にぎゅっと力を入れた瞬間。





目の前から由惟さんが消えた。



いや、正確には縁側から物凄い勢いで転げ落ちた。


そして私の目の前にあるのは脚、右脚。



「あ、あの、えーと……って、ちょっ、ちょちょちょ!!」



なんの突っ込みだ、と自分に言いたくなるような奇声を発してしまう、が発したくもなる。



だって続いて目の前に現れたのは、あの綺麗な直刃なんですもの、それがまた綺麗に月明かりに照らされて……ってそこはどうでも良くて。


 
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