戦国サイダー
「ならさっさと消えろ」



なにーっ! そう言う!?


確かにもう夜も更けてますけど、こんな時間に男が訪ねてくるのもあれですけど。


だからって「帰れ」じゃなくて「消えろ」って。



どうにかして日本刀を鞘に納めさせようとする私。


人の話なんかちっとも聞かないで、阿修羅の如く由惟さんを見下ろす鬼虎。


 
このどうしようもない状況で。



「くっ……くく、あはははっ」



由惟さんが……笑った。



その場違いな笑い声に、私は戸惑いを覚えたのだけど。


さすがの鬼虎は、微動だにしない、顔もひとつも動かさない。



「何が可笑しい」



ああ、どこかの時代劇で聞きそうな台詞。



「いや……悪い、ちょっと……な」



何が「ちょっと……」なのか私にはさっぱりわからないが、由惟さんは臆することなく「どかしてくんね?」と日本刀を指して言った。


……まさか偽物だとでも思っているのだろうか。


 
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