戦国サイダー
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「……なんで、わかるの?」



そう聞くと、彼はただ静かに微笑んで。



「すっごい惚れてたから、よく見てた。だから、ちょっとしたことでもわかる」



答えてくれた、優しく。



「見つかったらまたこえぇしな」そう言って由惟さんは白みだした空の下、自転車に乗って帰って行った。


昨日、自分に真剣を向けた人のことは、何も聞かず。


ただいくつか色々なことを話してくれた。



「自分なりに色々演技してみたんだけど」とか。


「ショッピングモールで見たとき、悩んでるのはわかったけど、相手がわかったのはさっきだ」とか。



あと「ごめんな」って。


「いつまでもお前がうじうじしてうるからあんなことしたけど、オレは未練あるだけで、これ以上どうにかしようとは思ってないから」って。



それを聞いたとき、私ってなんでこの人と別れたんだろう、って自分に聞きたい気分になった。


この人は他と違ったんだ、って、今更ながらに気づく。


 
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