戦国サイダー
兄は『気づけばもう転がるだけ』と言った。


その意味が理解できる。



でも、まだ、転がらないと思う。



ううん、転がることはないのかもしれない。



あの後、少しだけ、考えたんだ。



その気持ちを、認めるのはいい。



だけど、あの人は――





過去から来た人、でしょう?



もしそれが真実なら、私はその人を選択していいのかわからない。



映画や小説では、そういう人は必ず帰る。



それでもいい、なんて、今の私には判断出来ない。



だから認めたところで、騙すのをやめたところで。





伝えることは、ないのかもしれない――



 
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