戦国サイダー
お盆に急須と湯呑を二つ乗せて、縁側へと戻る。


昨日割った西瓜は、縁側の下に移動されていた。


ついでに濡れているんだから、鬼虎が水でも流してくれたんだろう。


その濡れた部分を避けて二人で座ると、結構距離が近い。



「ねえ」



急須から玉露を注いで、口を開く。



「なんだ」



湯呑を取ろうとした手と、指が触れる。



イヤじゃない、イヤじゃないんだよ。



「私も……虎、って呼んでいい?」



だけど、それは言わない。



だからせめて、これぐらいいいでしょう?



「好きにしろ」



うん、好きにする。


 
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