戦国サイダー
「畑の道具だ。お前は手を入れてないだろう。あれでは上手く育たぬ」



意外、畑仕事なんかするんだ。


というか一応簡単な草むしりと水やりはやってるんですけど?


それにあれ、母の趣味の家庭菜園レベルなんだけどな。


 
「ここで儂が出来ることといえばそれぐらいしかなかろう」



別にそこまで……と思っていたら、虎が拗ねた態度を見せる。


あ、これが拗ねてるってすぐわかるようになったのは、私成長した?



「一通り裏の物置にあるから。取りに行こうか」



「別にいいです」なんて言ったら、機嫌が悪くなりそうな予感がしたのでお言葉に甘えてみる。


まあ「働かざる者食うべからず」なんて言葉もあるぐらいですし。


というか私のせいで散々な結果になって母に泣かれても困るし。



私の言葉に虎は小さく頷いて、立ち上がる。


昨日までのジーンズ姿より、甚平の方が余程違和感がないんだから、人間思い込みって激しいのかもしれない。


 
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