戦国サイダー
十四帖 若紫
あれから一週間、何もなく過ごした。


ただなるべく虎と散歩して色んなものを見せたり、色んなものを食べさせたり。


あと、兄が買ってきたインスタントカメラで写真をよく撮るようになった。



畑も丁寧に二人で手を入れて、そのおかげかどうかはわからないけれど、トマトときゅうりが前にも増してこれでもか、という程豊作だ。



それにやっぱり虎は昼寝が好きで、よく縁側で寝てる。


つられて私も茶の間のテーブルに突っ伏して寝ちゃって、目が覚めたら夜だった、という日もあった。



苦労するかと思った二人だけの同居生活は、意外な程スムーズで。


勿論、虎のわがままっぷりは健在で、何度もそれに引っ張り回され、反感を覚えることもたくさん、ほんっとたくさんあったけど。



多分、虎にとっては家に家族以外の人がいる、という状況も可笑しなことではないのだろう。


私は言わば奉公人だ、我が家なのに。


だって虎は畑仕事以外、何もしないもの。


まあ時折力仕事は手伝ってくれるけど。



この一週間、特に私の気持ちに変化はない。


もしかしたら現状で満足なのかも。



だって、四六時中一緒にいるんだから。


 
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